前立腺レーザー治療センター長 岡野 達弥
前立腺肥大症は中高年の男性に特有の疾患で、肥大した腺腫(内腺)による尿路圧迫に伴う排尿障害が主な症状です。薬物治療の効果が不十分の場合に手術が検討されます。当院では前立腺肥大症に対する低侵襲手術を目的とし、2021年12月より前立腺レーザー治療センターを開設いたしました。腺腫を内側から蒸散するPVP(光選択式レーザー前立腺蒸散術)、腺腫と外腺(外科的被膜)の間をレーザーで剥離し膀胱内へ核出するHoLEP(ホルミウムヤグレーザー前立腺核出術)の2種類のレーザー機器を有し、どちらの治療も選択可能です。
止血に優れるPVPの一番のメリットは、抗凝固薬を服用中の患者さんでも施行可能であることです。一方HoLEPでは細切吸引し体外に取り出した摘出標本の病理組織検査が可能で、癌合併の有無を評価できることは非常に有益です。前立腺の容積で適応を考えると、PVPは小から中程度のもの(30~80ml程度)、HoLEPは中から大(50~100ml以上)が目安になりますが、実際には病状に応じて患者さんとご相談しながら術式を検討させて頂いています。両者が施行可能な施設は全国でも少なく、手術に関して迷われている方は、ぜひ当院にご相談下さい。
止血に優れるPVPの一番のメリットは、抗凝固薬を服用中の患者さんでも施行可能であることです。一方HoLEPでは細切吸引し体外に取り出した摘出標本の病理組織検査が可能で、癌合併の有無を評価できることは非常に有益です。前立腺の容積で適応を考えると、PVPは小から中程度のもの(30~80ml程度)、HoLEPは中から大(50~100ml以上)が目安になりますが、実際には病状に応じて患者さんとご相談しながら術式を検討させて頂いています。両者が施行可能な施設は全国でも少なく、手術に関して迷われている方は、ぜひ当院にご相談下さい。
前立腺肥大症は、60歳以上の男性の50%以上に発症し、このうち1/4の方に排尿障害が生じる泌尿器科では代表的な疾患です。前立腺は内腺と外腺に分かれますが、前立腺肥大症は、主に前立腺の内側(内腺)部分の肥大により症状を引き起こします。
治療は内服治療が優先されますが、症状が改善されない場合、手術治療の適応となります。
TUR-P(ループ状の電気メスによる、内側からの切除)、光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)に加え、あらたにホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP:ホーレップ)が導入されましたので当院での治療についてご紹介いたします。
治療は内服治療が優先されますが、症状が改善されない場合、手術治療の適応となります。
TUR-P(ループ状の電気メスによる、内側からの切除)、光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)に加え、あらたにホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP:ホーレップ)が導入されましたので当院での治療についてご紹介いたします。
当院の3つの治療方法
TUR-Pは、従来から施行されている経尿道的な内視鏡手術ですが、レーザー手術と比較すると時には出血が多く大きな肥大症には適さないこと、膀胱尿道の刺激症状が強いこと、カテーテル留置期間が長く、入院も長めになることなどの問題があります。
グリーンライトレーザー療法(光選択的前立腺レーザー蒸散術:PVP)とは、内視鏡を用いて尿道から細い光ファイバーを通して行う手術です。この光ファイバーから高出力レーザーを照射し前立腺組織を蒸散させることで、尿路のつまり(閉塞)を取り除く治療法です。
体への負担が少なく、従来の手術療法と同等の治療効果が得られます。
当院では前立腺肥大症を治療する最新型のグリーンライトレーザ-機器(GreenLight XPS)を導入しています(2020年1月現在)。
体への負担が少なく、従来の手術療法と同等の治療効果が得られます。
当院では前立腺肥大症を治療する最新型のグリーンライトレーザ-機器(GreenLight XPS)を導入しています(2020年1月現在)。
最新型のグリーンライトレーザー機器(XPS)と従来型の機器(HPS)の比較
最新型のグリーンライトレーザー機器(XPS)は従来型の機器(HPS)と比較して、
・レーザーの最高出力が高い(120W → 180Wに延長)
・レーザーファイバーがリニューアルされ長時間使用可能
・レーザーの照射範囲が広範囲に可能となり手技時間が短縮
・専用の止血モードが搭載され止血力が向上、より安全な施術が可能となっています。
・レーザーの最高出力が高い(120W → 180Wに延長)
・レーザーファイバーがリニューアルされ長時間使用可能
・レーザーの照射範囲が広範囲に可能となり手技時間が短縮
・専用の止血モードが搭載され止血力が向上、より安全な施術が可能となっています。
< 肥大した前立腺組織をグリーンライトレーザーで蒸散させる >
< グリーンライトレーザー療法の術後尿路の閉塞がなくなり尿の流れが改善される >
メリット
TUR-Pと比較して、以下のメリットがあります。- ・手術後早期に尿の流れの改善を感じることができる
- ・比較的早期に通常の生活に戻れる
- ・出血が少ない
- ・抗血栓療法の継続中でも安全に手術できる
- ・勃起障害(ED)に影響しない
- ・カテーテルの留置が短期間である
- ・入院期間が短い
HoLEPでは、尿道から挿入した内視鏡から非常に細い(0.55㎜)レーザーファイバーを挿入し、内腺(腺腫:肥大部分)と外腺の間を剥離して、内腺を膀胱内に核出します。その後、核出された腺腫をモーセレーターという特殊な器械を用いて体外に細切吸引します。レーザーは水に良く吸収され、組織への深達度も浅いため、TUR-Pに比べ出血が少なく手術後の痛みも軽微で、カテーテル留置期間も2-3日と短く患者さんにとって負担の少ない低侵襲手術として確立しています。また、PVPとの比較ではどちらも低侵襲とされますが、病理組織検査(まれに存在する癌の合併の診断)が可能なこと、腺腫の核出がより確実な(再発が少ない)こと、大きな肥大症にも対処可能なことなどが挙げられます。
< 最新式:パルス幅可変式ハイパワーホルミウムヤグレーザー >
< HoLEPの手術術式概要 >
経尿道的前立腺切除術(TUR-P) | 光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP) | ホルミウムヤグレーザー前立腺核出術(HoLEP) | |
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手術方法 (いずれも尿道からの内視鏡手術) | ・電気メス ループ状の電気メスで内側から前立腺肥大(内腺)部分を削って尿道を広げる削った組織は洗浄して摘出する | ・レーザー 前立腺肥大(内腺)部分を内側から焼いて(組織を蒸散させ)尿道を広げる | ・レーザー 内腺と外腺の間を剥離する剥離した内腺を膀胱内に落とす内腺を細切吸引して摘出する |
出血 術後の疼痛 | 少~中 | 少 | 少 |
手術適応 (手術可能な前立腺のサイズ) | 少~中 | 少~中 | 小~大 (大きな肥大症にも対処可能) |
術後カテーテル留置期間(当院) | 長(3日) | 短(2日) | 短(2-3日) |
入院期間(当院) | 長(6泊7日) | 短(4泊5日) | 短(5泊6日) |
病理組織検査 (癌の合併の精査) | 可 | 不可 | 可 |
麻酔 | 腰椎麻酔または全身麻酔 | 腰椎麻酔または全身麻酔 | 全身麻酔 |
再発の可能性 | 稀にあり | 稀にあり | 最も少ない |
当院の強み
PVPとHolepいずれも手術可能な医療機関は国内でも限られており、患者さんにとって手術を選択できるメリットがあります。当院の前立腺レーザー治療センターでは、前立腺肥大症の病状、年齢、合併症などに応じて治療方法を選択しています。詳しくは、担当医にご相談下さい。