CE部の主な業務
1. 血液浄化療法業務
1. 維持透析業務
当会は血液浄化療法に特化した医療機関でありますが、特に維持透析療法に力を入れています。良質な透析医療を提供するために透析液清浄化(1987年~実施、業界でも屈指)はもちろん、あらゆる透析技術を研究・研鑽しています。臨床工学技士は透析開始準備(機器の立ち上げや透析液濃度測定、プライミング等)から穿刺、返血まで透析治療全てに携わっています。穿刺困難者に対しては超音波エコー装置を使用してエコーガイド下穿刺を行っています。また、バスキュラーアクセス不全が疑われる症例に対してはその場でエコーを用いて評価を行っています。
当会では、医師や臨床工学技士などコメディカルスタッフが毎月1回集まり、治療条件や処方薬剤を決める会議を開催しています。臨床工学技士は主に透析治療条件(ドライウェイトや血液流量、ダイアライザ、透析液組成)の提案を行っています。
当会では、医師や臨床工学技士などコメディカルスタッフが毎月1回集まり、治療条件や処方薬剤を決める会議を開催しています。臨床工学技士は主に透析治療条件(ドライウェイトや血液流量、ダイアライザ、透析液組成)の提案を行っています。
各クールの透析治療開始前に透析液組成(pH・HCO3-・PCO2・Na・K・Clなど)の確認を行い、治療を行っています。
穿刺困難者に対して超音波エコー装置を用いて穿刺を行っています。
透析条件や目標体重の設定、治療中にトラブルが発生した場合には臨床工学技士が全て対応を行っています。
治療条件や処方薬剤を決める会議に臨床工学技士も参加し、治療中の病態や患者からの声を医師やコメディカルスタッフへ伝え、透析治療条件の提案を行っています。
2. 透析液清浄化業務
透析医療において安全かつ清浄な透析液を提供することの必要性は周知の事実であり、我国で透析療法を行う上で必須の条件となっています。清浄とは、透析療法に用いる透析用水・透析液に関し、化学物質の汚染や生物学的汚染がなく、且つ安全に治療を行うことのできるものとし、それらを作り出す装置の設計、管理方法を含め清浄化と定義されています。当会では良質な透析医療を提供するため、透析液清浄化を1987年から取り組み、透析用水作製装置の開発なども行っています。また、透析液清浄化業務を行う担当者全員が一般社団法人 日本透析医学会主催の透析液水質確保に関する研修や公益社団法人日本臨床工学技士会主催の透析液安全管理責任者セミナーや基礎セミナーを受講し、透析液清浄化業務に取り組んでいます。
日本透析医学会の基準に沿って管理を行っています。エンドトキシン測定と細菌培養検査は自施設で行い、透析用水の化学汚染物質の測定も定期的に行っています。また、供給水源 (給水場や給水栓)の公表値も定期的に確認しています。
<写真> 図左:透析用監視装置から透析液をサンプリング、中央:サンプリングした試料をEGTA液体培地による生菌培養を実施、図右:試料のエンドトキシン活性値を測定
<写真> 図左:透析用監視装置から透析液をサンプリング、中央:サンプリングした試料をEGTA液体培地による生菌培養を実施、図右:試料のエンドトキシン活性値を測定
3. 他の血液浄化療法業務
維持透析以外に持続血液透析濾過法(CHDF)や血液吸着療法(エンドトキシン吸着・白血球除去療法・顆粒球除去療法、LDL吸着療法)など多くの血液浄化療法も行っています。
プライミングから返血まで全ての業務を臨床工学技士が行っています。CHDF業務は臨床工学技士が交代(24時間制)で管理するため、これまで良好な成績を得ることができています。近隣からの緊急症例を受ける場合もあります。
2. 医療機器の管理
1. 医療機器安全管理責任者
平成19年4月1日より施行された改正医療法に定められた医療機器安全管理責任者として、当会理事会より臨床工学技士が任命され、本院、各分院に医療機器安全管理責任者を配置、誠仁会全体の全ての医療機器の安全な運用を目指し業務を開始しています。また、平成22年度4月1日より施行された、透析機器安全管理委員会、透析液安全管理責任者も臨床工学技士で組織しています。
各施設で医療機器安全管理責任者と透析機器安全管理責任者を配置しています。月1回、4施設の責任者が集まり、医療機器安全管理委員会と透析液管理委員会を開催して医療機器と透析液の管理を行っています。
2. 保守管理
透析関連装置(透析用水作製装置、透析液供給装置、A・B粉末自動溶解装置、透析用監視装置)から輸液ポンプ、シリンジポンプ、除細動器、人工呼吸器、手術室関連機器(電気メス、麻酔器、内視鏡、レーザーメスなど)、医療ガス設備・ボンベ等の院内で使用する全ての医療機器の点検・管理を行っています。医療機器の点検は、点検計画を立案、実行、報告、保管を徹底、メーカー主催の研修会に積極的に参加して保守・管理に関する技術や知識を習得し、業務へ活かしています。
透析用監視装置のオーバーホール(300台以上)やトラブル発生時の修理を行っています。臨床工学技士全員がメンテナンス業務を行えるようにメーカー主催の研修会に参加しています。
全ての医療機器の点検スケジュールを作成し、点検を実行しています。点検スケジュールには点検実施者も割り振られており、その日の担当者が割り振られた機器の点検を行っています。
医療ガス設備点検の日常点検を臨床工学技士が行い、定期点検はメーカーに委託して管理を行っています。当院では携帯酸素ボンベや二酸化炭素ボンベも使用しており、臨床工学技士が全て管理を行っています。
血液浄化業務では血圧管理が必須です。点検冶具を用いて透析用監視装置に内蔵されている血圧計の精度確認を定期的に行っています。
3. ME機器サービス業務
他のスタッフが気軽に声をかけることができるようにME機器サービス担当業務を新設しました。臨床工学技士が常駐していない病棟や外来でも日常的に医療機器が使用されています。日々発生する不具合に対応するために医療機器安全管理責任者の下、ME機器サービスを組織、計画的な一元的管理が可能になりました。MEの勤務時間中に専用のPHSを持ち、どこで不具合が発生しても臨床工学技士に連絡が取れる体制を構築してトラブル対応にあたっています。
トラブル発生現場に迅速に駆けつけ、対応を行っています。
トラブル対応方法や機器操作について指導も行っています。
4. 当院独自の医療機器管理システムの構築
中小規模施設である当院においてメーカーが販売している既存のデータベースソフトでは当院の業務状況に対応しておらず、医療機器管理システムを独自に構築する必要がありました。そこで、FileMaker Proを用いてシステムの構築を行い、メンテナンス業務や機器管理を行っています。
これまで医療機器の登録やメンテナンス記録は紙ベースで管理運用していましたが、構築した医療機器管理システムを用いることでデータベース化して管理運用しています。データベースに入力・記録することで一元管理が可能となり、トラブル集計・解析に応用できるようになりました。
3. 手術室関連業務
急速な進化と高度化を続ける手術領域において機器の専門的な知識を有したCEが手術室業務にも参入する必要性が出てきています。現在では主にバスキュラーアクセス関連手術の術前準備や術中介助、術後評価を行っています。今後は手術室に常駐し、手術中の機器の操作なども行っていく予定です。新しい分野に進出することで、他の医療スタッフの労力軽減に役立つよう活動中です。
使用デバイスの準備・充填・操作を行っています。
バスキュラーアクセス関連手術後には、超音波エコー装置を用いて術後検査も行っています。
4. 医療機器に関する講習会の開催
安全な医療機器を提供するため、職員は取り扱う医療機器の操作や点検事項を熟知してなければなりません。職員は施設に新しい医療機器が導入された時などを含め定期的に医療機器に関する正しい知識・技術を習得する目的で研修を受け安全確保に努めなければなりません。当会では新規に医療機器を導入する際には、講習会を開催して使用方法やトラブル発生時の対応等を周知しています。また、透析用監視装置や人工呼吸器、除細動器、AEDなど特定の医療機器に関しては定期的な講習会を開催しています。
AEDを用いた心肺蘇生法の講習会なども定期的に行っています。
6. 研究、開発業務(秘守契約があり一部を公開)
最近のものでは、ニプロ株式会社と共同開発を行い、透析用監視装置SPM-1、SPM-2、個人用透析装置SPM-10を開発しています(現在、発売中)。その他、メーカーと共同で様々な新機器の開発を行っています。
透析液を専用パック内に貯留させ、プライミングを行う新たなプライミング方法(ピューパック機能)を開発しました。ピューパックはパック内に透析液を貯留させた状態で治療を行うため、これまでの生食を用いたマニュアルが活用でき、また災害時の対応も操作、物品確保等、安全です。
7. その他業務
1. 血液ガス分析装置の管理
当会では透析液測定モードを有する血液ガス分析装置を用いて血液ガスと透析液を測定しています。血液ガス分析装置は血液ガス測定用と透析液測定用と分けて運用を行っており、各施設で複数台所有しています。点検や校正、トラブル対応とすべて臨床工学技士が行っています。透析液測定用に関してはpH計を使用してpHの補正も行っています。
2. 透析用排水中和処理装置の管理
透析用排水の中和処理で使用する薬液管理や調合作業の手配、透析用排水のpHやBOD・CODなどの管理を専門の業者と共に行っています。
3. 院内医療電気配線設備の管理
漏電ブレーカーや手術室で使用しているアイソレーションシステム、院内の医療用コンセントなどの管理を行っています。
4. 定期採血データの管理
CE部が独自で開発したシステムを用いて定期採血データを蓄積し、薬剤処方や栄養指導に役立てています。また、研究などにも応用して質の高い医療の提供に努めています。
5. 透析器材の在庫管理
血液浄化業務で使用する透析器や血液回路、人工腎臓透析用粉末製剤、生理食塩液、置換液など在庫管理を行っています。
6. 各種委員会業務
複数の委員会に所属して臨床工学技士の視点から意見や要望を出し、医療の質や医療サービスの向上、病院運営の効率化などを目的に活動を行っています。
主な委員会
- 医療機器安全管理委員会
- 透析機器安全管理委員会
- 医療安全管理対策委員会
- 病歴委員会
- 治験審査委員会
- 医療ガス安全管理委員会
- 個人情報保護委員会
- 衛生委員会
- 給食委員会
- 院内感染予防対策
- ICT委員会
- 月間透析記録検討WG委員会
- 倫理審査委員会
- 情報システム部会
- オーダリングシステムWG
- 事前指示書検討委員会
- 保険診療と診療報酬の理解を深めるための委員会
作成2022年2月15日
以上
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